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刑務所ってどんなところ?

日本の刑事施設には、刑務所、少年刑務所及び拘置所があります。刑務所は主として成人の受刑者を収容し、処遇を行う施設です。少年刑務所は、成人に満たない者を収容し、処遇を行います。拘置所は、主として刑事裁判が確定していない未決拘禁者を収容する施設です。2008年1月現在、日本の刑事施設は、刑務所が60か所、少年刑務所が8か所、拘置所が7か所、刑務支所が8か所、拘置支所が104か所あり、合計で187か所の施設があります。これらの刑事施設は、法務省が所管しています。ここでは、刑事施設のうち刑務所について、詳しく見ていきましょう。
裁判の結果、身体拘束を伴う刑罰が確定し、その刑に服することとなった人を収容する施設のことを刑務所(けいむしょ)といいます。刑務所は、被収容者を収容し、改善更生、社会への円滑な復帰などを目的とする様々な処遇を行う施設です。 刑務所に入るのは、懲役刑を言い渡された懲役受刑者(じゅけいしゃ)と、禁錮刑を言い渡されたそれ以外の被収容者です。受刑者は作業をすることが義務付けられていますが、受刑者以外の被収容者は、作業をすることが義務付けられていませんので、裁判があるとき以外は居室内にいて読書などをして過ごすことができます。
日本では、検察庁が被疑者として受理するのべ人員は、毎年200万人以上にのぼります。そのうち懲役や禁錮の刑が確定するのは約8万5千人です。そして、そのうちの6割の人は、執行猶予付きの有罪判決となり、実際に服役はしません。残りの4割程度の人が、実際に刑事施設に収容され、その人数は毎年約3万3千人です。このように、実際に刑事施設に収容される人員は、検察庁が受理した人員の約1.6パーセントにすぎません。犯罪者は裁判にかけられたら刑務所に行く、というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実際に刑務所などの施設に行く人は、犯罪者の中でも一部の人なのです。
刑務所では、なるべく似たようなタイプの受刑者を集めるために、法律で刑務所ごとの収容区分が決められています。これを収容分類(しゅうようぶんるい)といいます。
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犯罪傾向が進んでいない者 |
犯罪傾向が進んでいる者 |
分 類 |
A 級 |
B 級 |
要 件 |
@刑務所受刑歴がない(あっても出所から5年以上が経過している)
A少年院入院歴は1回限り
B反社会的な集団に属したことがない
C犯行が偶発的である(計画的ではない)
D過去1年以内に薬物・アルコール依存がない
のすべてを持たす者 |
(A級以外の者) |
近年の受刑者の特徴は、高齢の受刑者や女子の受刑者の増加が著しいことが特徴です。高齢の受刑者はこの10年で2.7倍、女子の受刑者は2.5倍に増えています。また外国人の受刑者も、この10年で2倍に増加しています。なお、新しく刑務所に入る受刑者のうち、約半数は再び刑務所に入る再入者です。そのため、ひとたび刑務所に入った者が、釈放された後に再び罪を犯さないよう、社会復帰できるように支えていくのも、刑務所の重要な課題となっています。
受刑者の作業

作業は、できる限り、受刑者の勤労意欲を高め、これに職業上有用な知識及び技能を習得させるように実施されます。また、受刑者に職業に関する免許もしくは資格を習得させ、または職業に必要な知識及び技能を習得させる必要がある場合において、相当と認めるときは、これらを目的とする訓練を作業として実施します(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第94条)。
刑務作業は、受刑者に規則正しい勤労生活を行わせることにより、受刑者の心身の健康を維持し、勤労意欲を高めることで、規律ある生活態度及び共同生活における自己の役割・責任を自覚させるとともに、職業的知識及び技能を付与することにより、その社会復帰を促進することを目的としています。服役期間を終えて刑務所を出た後、再び罪を犯して刑務所に戻ってくることのないように、生活を規則正しく送る習慣をつけ、知識や技能を得て、やがてお金を得ることができるような下地を作ることも、刑務作業の目的の一つなのです。そのような下地がないまま社会に復帰しても、お金を稼ぐことができずにやがて犯罪に手を染めてしまうことが多いからです。受刑者もひとりの人間として、自立を目指して鍛練することが必要なのです。
なお、刑務作業に就業した受刑者には、作業報奨金が支給されます。作業報奨金は、作業の督励と、釈放後の更生資金として役立たせることを目的として支給されます。ひと月あたりの、一人あたり平均受給額は、4,098円です。一般人の労働賃金と比べれば低い金額ですが、何十年も刑務所で服役した場合はまとまった金額となりますから、釈放後の生活などに役立てることができます。
刑務作業の職種としては、木工や印刷、洋裁、金属、革工などがあり、個人の適性に合わせてそれぞれの職種につきます。また、職業訓練も行われており、その対象分野はホームヘルパーや美容、理容、溶接やフォークリフト運転についての訓練など、多岐にわたっています。職業訓練を通して受刑者は、努力をすれば、何かを成し遂げることができるという達成感を味わうこともできます。職業に関する免許や資格、知識を持つことは、受刑者の本当の更生のために非常に重要な意味を持っているのです。
受刑者の一日

前述したとおり、禁錮刑を言い渡され、作業の義務がないものは、裁判のない日は居室内で読書や裁判の準備などをして過ごすことができます。ただ、読書などのほかに特にやることもありませんから、自分から希望して懲役刑の人と同じように作業をする人も多くいます。その場合の作業のことを請願作業といいます。
ここでは、懲役刑に服役している受刑者の一日を見てみましょう。
| 6:45 |
起床します。その後、洗顔やトイレを済ませ、朝の点検を待ちます。 |
| 7:00 |
点検の時間です。朝の点検では、逃亡者がいないかどうか人数を確認し、職員が受刑者の健康状態などを確認します。その後、朝食をとります。朝食後は、居室を出て、作業をする工場に向かいます。通常は共同室ごとに列を作り、並んで整然と向かいます。途中で作業着に着替え、その時に不正な物品の持ち出しがないか、身体に異状ないかを検査されます。 |
| 8:00 |
準備体操などをした後、作業を開始します。 |
| 9:45 |
15分間の休憩をとります。 |
| 10:00 |
作業を再開します。 |
| 12:00 |
40分間、昼食をとります。 |
| 12:40 |
作業を再開します。 |
| 14:30 |
15分間の休憩をとります。 |
| 14:45 |
作業を再開します。 |
| 16:40 |
作業を終了します。 |
| 17:00 |
点検の時間です。朝と同様の点検を受けます。その後、夕食となります。 |
| 18:00〜 |
余暇の時間です。テレビやラジオを視聴したり、読書や勉強をしたり、家族等にあてて手紙を書いたりします。 |
| 21:00 |
就寝します。 |
刑務作業の時間には、30分以上の運動時間が設けられています。また、家族との面会などもこの時間帯に実施され、また入浴が許される日は、入浴もこの時間帯に行われます。
受刑者の生活

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食事
食事は国から給与されます。被収容者の体質や健康状態、年齢、性別、作業の就業状態などを考慮した上で、被収容者の状態にあった熱量や栄養の食事が与えられます。また、宗教上の理由または食習慣の著しい違いにより一般の食事をとることができない者については、特別の食事が給与されます。多くは受刑者が外国人である場合に特有のケースといえます。
たとえば、米飯に替えてパンや麺などの主食が用意されることがあります。イスラム教徒であることの申告をすれば、豚肉は一切出されず、肉類もハラールフードの缶詰を出されるなどの配慮がなされています。ヒンドゥー教徒であることの申告をすれば牛肉は一切出されません。 なお、これらの配慮は、やむを得ない場合になされる配慮ですから、食べ物の好き嫌いなどの単なる習慣や嗜好では、代替食が与えられることはありません。
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居室
単独室と共同室があります。居室には、生活に必要な食卓、学習用の小机、清掃用具等が備え付けられています。また、建築基準法で定められている基準値を満たす窓や換気孔が備え付けられ、採光や換気にも配慮がなされています。
受刑者は基本的には共同室に入ることになります。しかし、受刑者が他の被収容者と接触することにより刑事施設の規律及び秩序を害する恐れがあるとき、他の被収容者から危害を加えられるおそれがあり、これを避けるために他に方法がないときなどは、受刑者を他の被収容者から隔離して、昼夜、単独室に収容されることがあります。これが昼夜間独居拘禁(厳正独居)です。 この処遇を受けると、運動、入浴、面会の場合を除いて、ずっと単独室に入れられることになります。運動や入浴も単独室専用の非常に狭い設備を使って、一人で行います。面会がない限り職員以外の人と会話することもできません。
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入浴
受刑者の入浴は、1週間に2回以上実施されています。入浴の時間はおよそ15分、女子はおよそ20分です。また、夏期は毎日の作業終了後、体を拭く時間を設けることで、入浴できない日も体を清潔に保つことができるように配慮されています。
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運動
受刑者の生命や健康の時事は、刑事施設の重要な責務のうちのひとつです。そのため、健康の保持上必要となる運動は、1日に30分以上の機会が与えられています。天候等が許せば戸外において実施されます。高齢者や、薬物事犯者のように体力が低下している者に対しては、ストレッチ体操を運動種目に組み入れるなどして、体力に応じた運動内容となるように配慮されています。
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医療
受刑者も風邪をひく、怪我をするなど、医療を必要とすることがあります。また、あらかじめ腎臓病など慢性的な疾病を持って刑務所に収容される受刑者もいます。様々な状況におかれている被収容者を収容している刑事施設ですから、被収容者の健康の管理・維持のために、医療を充実させることが必要となってきます。
一般の刑事施設には、医師等の医療関係専門の職員がいます。医師が刑事施設の職員として仕事に従事しているのです。医療関係専門の職員は、被収容者の保健衛生及び医療に関する業務に従事しています。また、その他に、さらに高度で専門的な医療行為を必要としている被収容者を集め、被収容者の状態に合わせて専門的な治療を行っている医療刑務所が全国に4か所あります。その中には、医療法による病院として、開設の承認を受けている施設もあります。
上述しましたように、被収容者の生命及び健康の維持は刑事施設の重要な責務ですから、日常的な診察は刑事施設の職員である医師が行いますが、病気やけがの程度や緊急性などから、職員である医師では対応しきれないような場合は、外部の医師による診察を行い、必要に応じて刑事施設外の医療機関に通院や入院させることもあります。そして、その診療の費用は国が負担しています。
受刑者との面会、手紙のやりとり

受刑者は、親族のほか、特に面会することが更生のために役立つと思われる者と面会することができます。また、手紙のやりとりは、犯罪性のある場合を除き、することができます。
刑務所外の人々と交流することは、家族や雇用主と円満な関係をつづけることができるなどして、更正の意欲が高まったり、やがて刑務所を出た後の社会復帰に良い影響を与えたりします。一方で、犯罪の背景となった交友関係を断絶できず、再び犯罪を行う伏線となってしまうことも考えられますから、無制限に外部の人間との交流を許すわけにはいきません。そのため、面会や手紙のやりとりに関して、その相手方や内容には、一定の制限があります。
面会をすることができるのは、一般的に平日の日中となっています。回数には制限があり、刑事施設によって定めがあります。所内での受刑態度が良好であれば、許される面会の回数が増えます。時間は一回30分程度ですが、他に面会を希望している申込みの件数が多いような場合は、ひとりあたり一回5分程度に面会の時間が短縮されてしまう場合もあります。
手紙の発信の数にも制限があります。これもそれぞれの刑事施設によって数がさだめられています。ひと月につき4通以上は少なくとも発信することができます。
面会や手紙のほかに、基本的に電話をすることは認められていません。しかし、釈放日が近くに迫った受刑者等については、社会復帰のためや更生のために必要であると認められる場合には、電話で刑事施設外の人と会話をすることが許されることがあります。
仮釈放の制度

刑法28条にはこのような定めがあります。
「懲役または禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。」
つまり、刑期の一定程度を経過した受刑者が、自分の犯した罪に対して十分に反省をしていて、再び罪を犯すおそれがないと判断された場合に、刑期を満了するより前に釈放される制度を仮釈放(かりしゃくほう)といいます。実際は、刑期の3分の2を過ぎたころから仮釈放されることが多いようです。 仮釈放は、刑の免除でも執行終了でもありません。主として受刑者の改善更生を目的とした、刑の執行のひとつの形態であるといわれています。
仮釈放は、更生の意欲や反省の様子、家族などの身元引受人がいるかどうか、再び罪を犯すおそれはないか、社会の感情が受刑者の仮釈放を是認すると認められるかどうかなどを、担当者との面接によって総合的に審査されて決められます。仮釈放の申請は、刑事施設の長が行うことになっており、受刑者に申請する権利があるわけではありません。仮釈放を許すかどうかを決定する権限は地方更生保護委員会にあります。
仮釈放されると、残りの刑期の期間中、保護観察に付されます。その間も保護観察の停止がない限りは刑期が進行することになり、仮釈放の許可を取り消されずに残りの刑期の期間を経過すれば、刑の執行は終了となります。
仮釈放中にさらに罪を犯したり、仮釈放前にした他の罪について罰金以上の刑に処せあれたり、仮釈放中に遵守するべき事項を遵守しなかった場合は、仮釈放が取り消されることがあります。
仮釈放の制度があることで、受刑者は、毎日刑務所の規則や刑務官の命令に従ってきちんと刑に服していれば、予定されている刑期よりも早く刑務所からでることができるかもしれない、という希望を持つことができます。刑務所という場所においても、人間は希望や目標があるとがんばることができます。もし刑務所内でどんな過ごし方をしたとしても、同じように刑期の間ずっと釈放されないと考えると、受刑者は規則や命令などに従わず、無秩序に生活してしまうかもしれません。何か目標となるものを制度として設けることは、刑務所の治安の維持や、受刑者たちの早期の更生のために、有用であるといえます。
参考:法務省矯正局ホームページ
日本の刑事施設パンフレット 法務省矯正局
受刑者のみなさんへ 改訂第3版 新受刑者処遇法対応版 日本弁護士連合会
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