13歳以上の人に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合、強制わいせつ罪(刑法176条)に該当し、その行為態様の悪質性等により、6月以上10年以下の懲役に処される可能性があります。13歳未満の人に対しては、暴行や脅迫を用いなくとも、わいせつな行為をすれば、強制わいせつ罪に該当します。さらに、強制わいせつをする目的で暴行や脅迫をし、被害者を死亡させたり、その身体を傷付けた場合には強制わいせつ致死傷罪(刑法181条1項)に該当し、無期又は3年以上の懲役に処されるおそれがあります。
強制わいせつ ある日の夜、中村さん(仮名)は、通行中の女性(被害者)が好みのタイプだったため、後ろから近づいて抱きつき、数回胸を揉んだ。夜間、見ず知らずの中村さんにいきなりわいせつな行為をされた被害者は、激しい精神的衝撃を受けてしまった。 もっとも、裁判の日に、◎事実を認めて反省の態度を示していること、◎中村さんの姉が監督を約束していること、◎前科前歴がないこと等、中村さんに有利な事情も明らかになり、執行猶予を付けるかどうかを裁判官が判断するにあたって、考慮された。
懲役1年6月(執行猶予3年)
強制わいせつ ある日の朝、吉田さん(仮名)は、通学途中であった女性(被害者)に目をつけて近づき、すれ違いざまに不意を突いて胸をわしづかみにした。まったく面識のない中村さんに、突然一方的に体を触られた被害者は大きな精神的苦痛を被り、恐怖感からそれまで使っていた通学路を通ることができなくなり、また男性とすれ違うたびに身構えるようになってしまった。 もっとも、裁判の日、◎捜査段階から事実を素直に認め、反省の態度を示している、◎被害者が拒んでいるため実現はしていないが、被害者に対し示談の申し出をするなど、謝罪の努力をしている、◎これまで前科がないこと等、吉田さんに有利な事情も明らかになり、執行猶予を付けるかどうかを裁判官が判断するにあたって、考慮された。
強制わいせつ ある日、中島さん(仮名)は、ホテルで受付業務をしていた女性(被害者)の下着が見たくなり、最初は被害者にお金を差し出して下着を見せるように求めたが、断られた。そこで中島さんは、被害者の右腕をつかんで暗いホテルロビー奥に無理やり連れて行き、左肩を押さえつけて被害者が抵抗できないようにした上で、「スカートをめくってパンティを見せてよ」などと言って、被害者に下着を露出させた。被害者は多大な嫌悪感や恐怖感を感じ、そのホテルではもう働けないとして退職も考えるようになってしまうなど、大きな精神的苦痛を被ってしまった。中島さんには、懲役になった前科が6犯あった。 もっとも、裁判の日、◎本件は計画性のある犯行ではないこと、◎捜査段階から素直に犯罪を認め、反省と謝罪の言葉を述べていること、◎十分ではないが、被害者に5万円の支払いの用意があると述べ、謝罪文を書いていること等、中島さんに有利な事情も明らかになった。
懲役1年6月
強制わいせつ 山口さん(仮名)は、ある学校内の職員室で、部下である女性(被害者A)に対して背後からいきなり抱きついてキスをした上、被害者を更衣室に連れ込み、被害者を押し倒して服を脱がせ、その胸や陰部を触った。そしてその後も、同じ被害者に対して繰り返し同様の行為を行った。 また、山口さんは、学校内の休憩室で不意を突いて、他の部下である女性(被害者B)の胸を触った。 これらの犯行によって各被害者は多大な精神的苦痛を被り、教員の職を辞職しなければならなくなってしまった。 もっとも、裁判の日、◎反省を示し、謝罪の言葉を述べていること、◎被害者Bとは示談が成立し、山口さんの父親から100万円が支払われていること、◎被害者Aとは示談が成立していないものの、弁護人を介して示談の申し入れをし、謝罪の手紙を送っていることなど、山口さんに有利な事情も明らかになった。
懲役3年